保守化していく文展に反発して生まれた在野団体。帰朝者した若手画家を中心に結成され、新傾向の画家を輩出していく。創立会員は後期印象派に影響を受けつつ個性の発揮を目指した。そして二科賞受賞者はひとくくりにできない程の個性を持った画家たちであり、大正〜昭和を代表する画家たちの名が並んでいる。
石井 柏亭 | 山下 新太郎 | 有島 生馬 | 津田 青楓 |
坂本 繁二郎 | 梅原 龍三郎 | 斎藤 豊作 | 湯浅 一郎 |
田辺 至★ | 九里 四郎 | 小杉 未醒 | 柳 敬助 |
正宗 得三郎 | 森田 恒友 | 熊谷 守一 | 岸田 劉生 |
開催 | 年 | 二科会賞 | 樗牛賞(新人賞) | ||||
1回 | 大正3 | 十亀 広太郎 | 硲 伊之助 |
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2回 | 大正4 | 海老名 文雄 | 三井 文二 | 鍋井 克之 | 横井 弘三 | ||
3回 | 大正5 | 東郷 青児 | 石井 鶴三 | 横井 弘三 | 松岡 正雄 | 浜田 葆光 | |
4回 | 大正6 | 岸田 劉生 | 林 倭衛 | ||||
5回 | 大正7 | 硲 伊之助 |
林 倭衛 | 鍋井 克之 | 関根 正二 | ||
6回 | 大正8 | 黒田
重太郎 |
横井 礼市 | 小出 楢重 | |||
7回 | 大正9 | 小出 楢重 | ジェレニエフスキー | 中川 紀元 | |||
8回 | 大正10 | 中川 紀元 | 中川 一政 | 林 武 | |||
9回 | 大正11 | 古賀 春江 |
児島 善三郎 | 林 武 | 横山 潤之助 | 小林 喜一郎 | |
10回 | 大正12 | ||||||
11回 | 大正13 | ||||||
12回 | 大正14 | 木下 孝則 | 曽宮
一念 |
里見 勝蔵 |
大正期新興美術運動は、「立体派や未来派のみならず、(中略)ダダや構成主義といった最新の動きまでが、さまざまなルートを通して移入され、渾然一体となって造型表現を活性化した運動であった」(※1)。二科会が生んだ自由な表現を歓迎する潮流や、新聞や雑誌に紹介される西洋の美術運動に感化され、さまざまな前衛的な表現が試され、実験された。
(※1) 参考文献 五十殿利治「劇的な空間の創出」『モダニズムと伝統』
未来派美術協会(1920年) | アクション(1922-3年) | マヴォ(1923年) |
普門暁 | 木下秀一郎 | 神原泰 | 中川 紀元 | 村山知義 | 柳瀬 正夢 |
浅野孟府 | 戸田海笛 | 矢部 友衛 | 横山 潤之助 | 尾形亀之助 | 大浦周蔵 |
尾形亀之助 | 笠置季男 | 古賀春江 | 泉治作 | 門脇晋郎 | |
大浦周蔵 | 穴明共三 | ||||
木下秀一郎 | 浅野孟府 | 神原泰 | 矢部 友衛 | 村山知義 | 柳瀬 正夢 |
中原実 | 岡本 唐貴 | 玉村善之助 | 横井弘三 |
大正デモクラシーの高まりを背景に、「社会問題を意識化した展覧会」(※)が行われるようになった。黒耀会のように、社会思想をもった美術運動が展開される。その流れは、プロレタリア美術運動とアナーキーな個人的な表現にいたる者と分化し、最終的には戦時下体制に弾圧され消滅した。
(※) 参考文献 尾崎眞人「画家と社会−その創造と破壊のまなざし」『モダニズムと伝統』
望月桂 | 林 倭衛 | 小生夢坊 | 橋浦泰雄 |
大杉栄 | 荒畑寒村 | 久坂卯之助 |
田中淳『日本の近代美術4〜新思潮の開花』(1993)大月書店
高階秀爾『岩波・日本美術の流れ6〜19・20世紀の美術』(1993)岩波書店
五十殿利治「劇的な空間の創出−村山知義と大正期新興美術運動」
尾崎眞人「画家と社会−その創造と破壊のまなざし」
〜『日本美術全集 23巻 モダニズムと伝統』(1993)講談社
萬木康博編『日本の近代美術7〜前衛芸術の実験』(1993)大月書店
『近代日本美術事典』(1989年)講談社
『20世紀物故洋画事典』(1994年)美術年鑑社
『二科70年史』
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